「佐賀のがばいばあちゃん」に学んだがばい人生観

2023.01.14
    


前回のブログでは、年末に家族で行った「佐賀旅行」ついて記しました。

今回も「佐賀」つながりでいきます。

人間学を学ぶ月刊誌『致知』の随分と前の号(2006年11月号)に漫才師の島田洋七さんの対談記事があります。

それを読んだ当時、その内容がとても心に響きました。できていない私、駄目な私自身を諫めるため、ときおり読み返せるようにと手元にスクラップして置いています。今日はそれを抜粋、以下に転記させてもらいます。



(島田):僕は広島で生まれて間もなく父親を原爆症で失い、母が居酒屋をやって一所懸命育ててくれていました。だけど家で留守番をしていると母が恋しくってねぇ。夜中に家を抜け出しては、スラム街を通って店まで母に会いに行くものだから、母も心配になって、佐賀の田舎にいたばあちゃんのところに預けられることになったんです。8歳の時でした。


(記者):あぁ、そういう事情で。


(島田):しかし、僕がばあちゃんに預けられたタイミングは最悪でした。女手一つで7人の子を育て上げたばかりで、やっと肩の荷が下りたところだったんです。でもまだまだ貧しい時代でしょう。子どもたちも自分のことで精いっぱいでばあちゃんに仕送りできる余裕はないから、家計は当然苦しい。夕飯も食べられない日もあったくらいだった。だからばあちゃんにとって、育ち盛りの僕を預かるなんて、苦労を背負い込む以外の何ものでもなかった。でも、ばあちゃんは、夫を亡くして懸命に働いている娘の辛さがよーく分かっていたから、断らなかったんです。


(記者):それがおばあ様との生活の始まりだったのですね。


(島田):僕はある時ばあちゃんに、「うちって貧乏だけど、そのうち金持ちになったらいいね!」と言ってみたことがあるんです。すると、ばあちゃんはこう言うんです。「何言うとるの、貧乏には2通りある。暗い貧乏と明るい貧乏。うちは明るい貧乏だからよか。それも、最近貧乏になったのと違うから、自信を持ちなさい。うちは先祖代々貧乏だから。第一、金持ちは大変と。いいものを食べたり、旅行に行ったり、忙しい。それに、いい服着て歩くから、こける時も気ぃつけてこけないとダメだし。その点、貧乏で最初から汚い服着てたら、雨が降ろうが、地面に座ろうが、こけようが、何してもいい。ああ、貧乏でよかった」


(記者):辛い貧乏生活も、知恵で明るく乗り切っていたのですね。


(島田):本当は、絶対に辛かったと思いますよ。でも見せなかったね、暗いところは。やっぱり七人も小さい子どもがいる時に、自分が泣いたら子どもは終わっちゃうじゃないですか。だから絶対に泣くところは見せなかった。逆にケラケラ笑っていました。ご飯の時も、「こんなに食べるものがない家庭も珍しかばい」って笑うんですよ。僕もよく分からなかったけれど、笑うしかないから一緒に笑っていました。アハハハッて(笑)。

とにかく命懸けで育ててもらったものね。大きくなるにつれて、そういう苦労がだんだん分かってくるんです。いまになって気づくこともあるし。「飯食わんか」って言われて、「ばあちゃんは?」と聞くと、「食べた食べた、もう腹いっぱいになったから食べな」と。でも、炊事場にはばあちゃんの箸がないもんね。あぁ、ばあちゃん食ってないやって。


(記者):孫に食べさせるために……。


(島田):そういうばあちゃんを周りのたくさんの人が応援していました。7人もの子どもを育てた上に、60を越えても孫の僕を預かって苦労している大変な頑張り屋ということで、近所でも有名だったからね。

例えば、豆腐屋さんが来るとばあちゃんはいつも僕に、売り物にならない崩れた豆腐を半額の5円で買わせにやっていたんです。ところが、崩れた豆腐が一つもない日があってね。家に戻ろうとすると、「あったよ!」って呼び止められたんです。振り向くと、豆腐屋さんが手で豆腐をつぶすところがちらっと見えた。


(島田):そんなばあちゃんの人生観の中でも、僕がとりわけ影響を受けたのは、人を羨ましく思わない、という姿勢です。見えを張らないということ。これができたら人生どんなに楽か。


(記者):人を羨ましがらず、見えを張らない。


(島田):はい。自分の分を過ぎたことを求めるから、余計な悩みを抱え込むんです。うちはこれでええねん、と言ったらそれでええんです。50代のおっさんが一流企業をリストラになったら、コンビニでバイトでもすりゃいいんですよ。そのほうが人間大きく見えるって。それをやりながら本当にやりたい仕事を探したらいいんです。家でふさいでおっても一文にもならんのだし。

僕みたいに芸能界にいると、どうしても浮き沈みというのがあります。でも僕は全然平気。だって売れてチヤホヤされている時だけが人生とは思わんしね。仕事がなくてバイトしてもいいんですよ。そうやって自分のやるべきことをちゃんとやっていたら、きっとまたチャンスがやってくる。僕はそう信じているから。

ばあちゃんも言っていました。

「人間は死ぬまで夢を持て! その夢が叶わなくても、しょせん夢だから」って。


(記者):あぁ、死ぬまで夢を持てと。


(島田):僕がばあちゃんとの暮らしの中で一番学んだのは、楽しく生きるすべじゃないかと思います。いまの人は、楽しく生きるって案外難しいもんだと感じているんじゃないでしょうか。でも、人のことを羨ましがったり、見えを張ったりせず、自分の夢に向かってやるべきことをしっかりやっていたら、誰もが明るく、楽しく過ごせるんじゃないかな。



如何でしょうか? 響きませんか??

私は、ツイッターをよく利用するのですが、先日次のようなツイートをしたところ、多くのフォロワーさんから「いいね」を戴きました。


人のことを羨ましがったり、見栄を張ったりするのをやめたら、人生すごく楽なんじゃないかな・・・。☝️😄 (2022年12月22日)


やはり、皆さん共感されたんだと思います。

私は今後も、人を羨ましがることを慎み、決して見栄も張らない……「人は人、自分は自分」・「知足常楽」のスタンスで生きてゆきます。