利他の心 〈地獄と極楽 うどんの話〉

2009.07.25
    

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縁あって当社に入社していただくことになった皆さんに決まってお話しさせていただくのがこの話です。「社是」の第一項目である『思いやりと優しさ、利他の心で』について説明をする際に使っています。 これは、盛和塾の稲盛和夫塾長(京セラ名誉会長・KDDI創業者)から教えて頂いたお話しです。

→ 京都のとあるお寺で、若い修行僧が「あの世には”地獄”と”極楽”があるそうですが、”地獄”とはどんなところなのですか?」と老師に尋ねたところ、老師は次のように答えました。 「確かにあの世には”地獄”もあれば”極楽”もある。しかし、両者には想像しているほどの違いがあるわけではなく、外見上は全く同じような場所だ。ただ一つ違っているのは、そこにいる人達の心なのだ。」 老師が語るには、”地獄”と”極楽”には同じように大きな釜があり、そこには美味しそうなうどんが、ぐつぐつと煮えている。ところがそのうどんを食べるのが一苦労で、長さが1メートル以上ある長い箸を使うしかないのです。 ”地獄”に住んでいる人は皆、われ先にうどんを食べようと、争って箸を釜に突っ込んでうどんを掴もうとしますが、余りにも箸が長く、うまく口に運ぶことが出来ません。しまいには、他人が掴んだうどんを無理やり奪おうと争い、喧嘩になってうどんは飛び散り、誰一人として目の前にあるうどんを口にすることが出来ない。 美味しそうなうどんを目の前にしながら、誰もが餓えてやせ衰えている・・・・・ それが”地獄”の光景だというのです。  それに対し、”極楽”では、同じ条件でも全く違う光景が繰り広げられています。誰もが自分の長い箸でうどんを掴むと、釜の向こう側にいる人の口へと運び、「はい、あなたからお先にどうぞ」と食べさせてあげる。 そうやってうどんを食べた人も、「どうもありがとう。次はあなたの番です」と、お返しにうどんを取ってあげます。 ですから、”極楽”では全員が穏やかにうどんを食べることが出来、満ち足りた心になれる。  同じような世界に住んでいても、温かい「思いやりの心」を持てるかどうかで、そこが”極楽”にも”地獄”にもなる。 それがこの話が言わんとしていることなのです。