捨てる決断

2011.12.03
    

私は、自分が興味のある「セミナー」や「講演会」を聴講した際には、とにかくメモを取ります。 まさに殴り書きですが、とにかく 「これは!」と思った内容・フレーズについてはメモを取ります。 それを、一両日中に自分なりにワードでまとめ直すということが習い性となっています。 その一つ一つを一冊のバインダーに綴じて、ふとした時に読み直したりします。
昨日、そのバインダーをめくっていたら、今から6年前(2005年6月)に聴講した松井証券・松井道夫社長の講演をまとめたものが目に留まりました。
 
その内容の中でも特に印象的なのが、「今日のような時代においては、”加える決断”ではなく、”捨てる決断”が重要だ」 と語っておられた部分です。 (2+1=1 で、2-1=3 だというふうにメモってあります・・・)
 
ご存知の方も多いと思いますが、松井証券は長らく中堅の証券会社でありました。2代目社長の婿養子として迎えられた松井道夫氏が、1995年に3代目社長に就任すると、社内の反対もありましたが大きく舵を切って、”インターネット証券”に参入、それによって大きく成長していったのです。 2001年8月には、インターネット取引専業の証券会社として、日本で初めて東証一部に上場を果たしています。
 
そんな経験を踏まえて語られたのが、このときの「講演会」でありました。 社長ですから、毎日が「決断」の連続であるわけです。 松井社長も人間ですから、当然のことながら正しい決断ばかりをしていたわけではありません。間違った決断も随分とされてきたわけです。
 
あるとき、それを整理してみると、正しい決断にも間違った決断にも、それぞれ共通項があることに気づいたそうです。 どういうことかと言うと、正しかった決断は全て「マイナスの決断」、つまり、”捨てる決断”だったわけです。 そして、間違えた決断というのは「プラスの決断」・「足し算の決断」、つまり、捨てないで”加える決断”だったのだそうです。
 
捨てる決断をして、捨てるものというのは、その全てが「これまで積み重ねてきたもの」であるわけです。色々な努力や苦労の集積であるため、捨てることによる痛みが計算できてしまうのです。
それに対して、捨てて得られるものは、全てが未来のこと。 未来のことは、やってみないことには分からないから計算が立たないのです。 計算できるものを捨てて、計算できないものを得ようとするので反対されるというわけです。 
 
松井社長が証券セールスをやめると言い出したときも、幹部社員からは「社長、この営業体制を作り上げるのにどれだけの苦労をしたのか解りますか・・・!」と散々言われたのだそうです。 それを社長の強い思い込みで押し切り、結果的に成功を収めたわけです。
 
松井社長は、”加える決断”が全て駄目だとは決して言っておられませんが、何かを得ようとするなら、まず捨てることからだと説いておられました。
新しいものを取り入れるためには、まず古いものを捨てなければならない。まず、古いものを捨てて場所を空けないと新しいものは入らない・・・、このフレーズが妙に心に引っかかる今日この頃であります。
 
 
※適当な写真がありませんので、今日も我が家のベランダに咲く「バラの花」 でいかせてもらいました・・・。