相続した土地を国庫に帰属することが可能になります。

2023.09.04
    

所有者不明土地の発生を防止するため、4月27日から新制度がスタートしました。

近年、都市部への人口集中や全国的な人口減少、高齢化などから

地方の郊外では土地利用のニーズが低下しています。

 そのため、地方の郊外にある土地や農地などは、売却したくても

出来ず、寄付しようとしても「利用価値がないためタダでもいらない」

と言われることがあります。

 しかし土地は物とは違い捨てることができません。

またほっておいても固定資産税はかかりますし、近隣に住人がいる地域

ですと、定期的な草刈りなど手入れも必要になります。相続しても

売れなければ、自分で管理するしかありませんが、管理が出来ずに

長年放置され、その後、更に相続が発生したりすると、相続関係者が

複数になり、所有者が特定できない「所有者不明土地」になることに

つながります。

 所有者を探すには多くの時間と労力がかかり、公共事業や

復旧・復興事業、取引や土地の利活用の妨げになってしまい、

隣接する土地にも悪影響が発生することもあります。

 そこで、4月27日から「相続土地国庫帰属制度」が施行となりました。

一言でいうと「いらない土地を国にあげることができる制度」です。

 取得した土地が一定の条件に当てはまる場合、その土地を取得した

相続人が国に対して申請して承認されれば、10年分の土地管理費相当額を

払って、いらない土地を国に引き取ってもらうことができます。

 この制度を利用するメリットは次の2つがあります。

①いらない特定の土地だけを手放すことができる

 これまでであれば、土地を相続しない場合は、相続放棄をして、

相続するすべての資産を放棄するしかありませんでしたが、

新制度ではいらない土地だけを手放すことができ、負担になる

土地の管理やコストだけを省くことができます。

②引き取り先を自分で探す必要がない

 相続した土地の購入先を探すため、不動産会社を回って買主を

探す必要がありません。売れなくて困ってしまうような土地も

この制度を利用すれば、手間なく手放すことができます。

 

 この制度の申請は、相続によって土地の全部または一部を取得した

相続人が行うことができ、制度の開始前に土地を相続した人も

申請可能です。

ただし、管理や処分するのに過大な費用や労力が必要と判断された土地は

対象外となります。

他にも土壌汚染がある土地や境界が明らかでない土地、担保権など

権利が設定されている土地も対象外となります。