土地売買時に重要な接道状況の注意事項をご説明します

2024.01.12
    

重要な接道義務と道路の種類について建築可能な道路は次の6つになります

 今回は最近ご相談を受けた案件で、接道についての案件が立て続けにあったので、

接道についてご説明します。

 建物は、原則として道路に2m以上接していなければ建築することが出来ません。

このことを接道義務と言います。ここでいう道路とは建築基準法上で

以下の6つを定めています。

①道路法による道路(法第42条第1項1号道路)

②都市計画法、土地区画整理法、旧住宅地造成事業法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市法、密集市街地整備法による道路(法第42条第1項第2号道路)

③既存道(都市計画区域・準都市計画区域の指定・変更、条例の制定・改正により建築基準法第3章適用の際に現に存する道)(法第42条第1項第3号道路)

④道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市法、密集市街地整備法の事業による計画道路(2年以内に事業が執行予定、特定行政庁の指定あり)(法第42条第1項第4号道路)

⑤土地を建築物の敷地として利用するため、上記1〜4の法によらないで道を築造しようとする者が特定行政庁から指定を受けたもの(位置指定道路)(法第42条第1項第5号道路)

⑥上記3の既存道適用時に、現に建築物が立ち並んでいる幅員が4m (または6m)未満のもので特定行政庁が指定したもの(法第42条第2項道路)

 一般的な道路は市道、県道、国道として道路認定を受けた①の法第42条第1項1号道路で

あることが多く、幅員が4mもしくは6m以上あります。

逆にそれ以下の場合は⑥の法第42条第2項道路となりますが、

幅員が1.8m未満の場合は建築基準法上の道路とはならないため、

そのような道路に2m以上接していても建物を建築することは出来ません。

私道では建築できませんか?私道の通行料支払は必要ですか?

他人の通行を禁止することと通行する権利があることは別になります。

これまで道路の種類についてご説明しましたが、それとは別で所有者によって

公道と私道の区分もあります。

 市道、県道、国道などの公道は公のものなので、

建築基準法上の道路になるのは分かりますが、

私道でも建築基準法上の道路として認定されることがあります。

 私道が道路認定された場合は他人が道路として利用できる状況と

なっていて、所有者が勝手に用途変更できなくなっております。

 今回、相談者から道路に接していない袋地を相続したが、

どうすれば良いかとご相談を受けました。

 土地の公図を見ると、前面道路は隣地の一部となっており公図上では

確かに袋地の状態です。所有者を調べると近所の方でした。

 その後、役所で前面道路の状況確認をすると市道として認定されており、

幅員が3.3mの2項道路となっていました。

そのため建築は特に問題なく出来るとの事。

上水も側溝も設置されており、公道と扱いは変わらないと言われました。

 しかし、相談内容には昔から通行料を地主に支払う事になっており、

相続後も支払わなければならないのかも聞かれていました。

 維持管理も市が行うため、建築する際に上水引込などで

道路の掘削時には所有者の承諾も不要とのことでした。

しかし、2項道路は、先ほど述べたように他人の通行を

禁じることは出来ませんが、他人の私道を通行する権利与えるわけではありません。

分かりづらいので、例をあげて説明します。

 例えば今回道路で所有者とトラブルになり、通行を妨害されたので、

通行を求めて裁判となった場合、裁判所は権利を害されたときにそれを保護、

回復することが目的のため、訴える側に通行する権利が

有るか無いかはとても重要になります。

 そのため、通行料の支払義務はありませんが、支払うことで通行の権利を

得ることになります。また、私道の場合、徒歩での通行を禁止することが

出来ないだけであり、自動車やバイクなども禁止出来るわけではありません。

そのため、道路所有者と通行料の有無を確認し、通行許可書の作成。

念のため掘削の件も承諾をとることをアドバイスしました。

 通行料を請求されることは腹立たしい気持ちもありますが、

見方を変えれば、対価を払えば通行権を取得できるチャンスでもあります。

そのため支払いを頭から拒否するのではなく、

金額次第で支払を検討した方がよいでしょう。

 接道状況は不動産の重要な要素であり、価格に大きく係わってきます。

そのため土地を売買するときは、地形や立地だけでなく、

接道の状況をしっかりと確認してください。