【不動産豆知識/不動産用語編】 特定空き家

2022.02.18
    


今日は久しぶりに 【不動産豆知識】 で行かせてもらいます。

いま私は、(公社)全日本不動産協会愛知県本部[全日愛知] において「空き家対策」の担当責任者を任じられており、愛知県内の全ての自治体との間で協定を締結することを目指し活動をしています。

そんなことから、空き家問題に関する全日愛知の取り組みであったり、各自治体との提携の様子(調印式の様子)をこのブログにおいても幾度か取り上げています。

そこで今回は、「空き家」に関した不動産用語『特定空き家』について記させて頂くこととします。

空き家を放置し続けた場合、自治体から『特定空家等』と判断される場合があります。

そのように判断されると、自治体から何らかの措置の助言であったり、指導、勧告、命令が行われることがあります。
そして、かかる命令に従わなかった場合には、行政による「代執行」が行われる可能性があります。

代執行の行政措置が行われた場合には、行政は特定空家等の所有者に対し、代執行にかかった “一切の費用” を請求することになります。

“一切の費用” を具体的に言いますと、「代執行の手数料」はもちろん、「請負人に対する報酬」や「作業員の賃金」・「資材の費用」、そして「第三者に支払うべき補償料」などになります。


ですから、空き家を放置して「特定空家等」と判断されると、予期せぬ出費が発生、結果的に自身の資産を大きく減らしてしまう可能性もあるのです。


ちなみに 「特定空家等」の基準は、その空き家が以下のような状態にあるか否かです。

◆倒壊等、著しく保安上危険となるおそれのある状態

◆衛生上、著しく有害となるおそれのある状態

◆適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態

◆その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態


そして、空き家の状態を放置しておくと、重大なデメリットがあるんです。

それは「固定資産税の特例対象外」になってしまうということです。


どういうことかと言いますと、

住宅用地のうち一定の条件を満たすものについて、固定資産税が最大1/6まで減額がなされるという特例措置があり、平成26年度までは全ての住宅について適用されていたのですが、平成27年度税制改正の大綱において、「適切な管理が行われていない空き家の敷地」については、この特例措置を適用しないということになったんです。

つまり、空き家を放置しておくと、固定資産税がグンと高くなってしまう可能性があるのです。


そして、もう一つデメリットをあげますと、

空き家を放置すると余計にお金がかかったりするんです。

どういうことがと言うと、

人が住んでいない家・メンテナンスを行なっていない住宅は、傷みが早く、いざ、空き家を利活用しようと思っても、修繕や改修、雑草除去、シロアリ対策等で多額の費用が必要となり、資金繰り等の問題から利活用を諦めなければならないことも起こり得るのです。


空き家の所有者、関係者には適切な管理を行なう “責任” があります。

「空家等対策の推進に関する特別措置法」にそう定められています。

もし、屋根や外壁等が崩落し、通行人等が怪我をした場合、これは空き家所有者の責任となり、「損害賠償」を問われる可能性があるということを重々承知しておく必要があります。


本日記しましたように、「空き家」の放置は、“百害あって一利なし”。

「賃貸」・「売却」、もしくは「解体」することを視野に入れて早めに対処することが重要です。



写真は、先週土曜日(2月12日付)の 『日本経済新聞』 の記事です。

「神戸市」や「尼崎市」が固定資産税の軽減措置に例外を設けたと記されていました。「特定空家等」の基準を広げることにより、老朽空き家をもう少し幅広く適用除外にするみたいです。

また、「京都市」においては更に “新税” を設ける条例案をまとめたとのことです。税を重くする背景には、自治体による空き家対策の “手詰まり感” があるようです・・・。