【渡辺の本棚】 「父親のための人間学」

2010.08.30
    

今日ご紹介させて頂きますのは、『父親のための人間学』(森信三・致知出版社)。
今から30年前の昭和56年に出版された『父親人間学入門』という書が、今年の4月に新版発行
されたものです。
 
この本の著者である森信三氏(故人)は、先日のプログ記事にも記させて頂いておりますが、
戦前・戦後を通じて日本の教育界最大の人物 と評される方であります。
森氏は、この書を通じて “父親として”、また、”人間として” 「いかに生きるべきか」 ということに
ついて、その考え方を根源的に、また、その実践法を具体的に示してくれています。
 
私も年齢的に40後半となり、人生の二等分線を明らかに越えたと思っています。
最近では、「自分が死んだ後に残るものは何だろうか・・・?」 というようなことを考えるように
もなってきました。
 
子供のみならず、その他の家族、そして、社員、友人、周りの人達の “思い出” として残るもの
は、「地位」でも 「名誉」でも 「財産」でもないはずです。
あの人はこんな優しい心根を持った人だった・・・、こういう嬉しいところのある人間だった・・・ と
いう、その 「人間性」 こそが、その最たるものであろうと思います。
 
男が我が子に残すべきは、決して 「お金」 とかではなく、「自分の生き方」 そのものなんだという
ふうに心の底から思うようになりました。
 
「子供は、親の言う通りにはしないけれど、親がするようにはするものだ」 と言われます。
ですから、父親である私自身が “襟を正した奇麗な生き方” をしていかねばならないわけであり
ます。
私自身の生き方・考え方が、我が子に多大な影響を与えることになるわけで、仮にそれが素晴ら
しきものであるならば、たとえ、私がこの世を去っても、我が子を通じて沢山の人を幸せにすること
もできるわけです。
これこそが、私の “生きた証” ともなっていくのだろうと思います。
 
そのようなことを常に念頭に置き、少しでも心を高めていけるよう日々精進であります。

 
さて、本書の巻末において、著者の考える 「あるべき父親像」 なるものが列記をされているわけ
ですが、その中に 「父親は、平生は泰然として、あまり叱言をいうべきではない」 というもの
がありました。 森氏は、古来、卓れた父親は、我が子を 一生に三度だけ叱る というが、これぐら
いの心構えが必要だと述べておられます。
いろんなことに、とかく口を挟みがちな私としては、大いに反省。 もうちょっとドッシリ構えていこう
と心に誓った次第であります・・・。