【渡辺の本棚】 12の「失敗経営」に学ぶ65の教訓

2011.08.02
    

本日ご紹介させて頂きますのは、12の「失敗経営」に学ぶ65の教訓(小林一博・FB出版)であります。
いま巷には、”成功”するための本が溢れていますが、本書は、その種の本とは一線を画す 「このようにやれば”失敗”する」 という”失敗学”の本だと言えます。 著者の言葉をそのまま引用させて頂くなら、「このようにやらなければ、このように考えなければ、成功への近道をいける」 という考え方も成立するのではないかということであります。
 
本書では、美容室チェーン、ボビーショップ・書店、老舗石材店、コンサルタント、飲食チェーン、養鶏業、ネットワークビジネスを志向するサラリーマン、歯科医療法人などなど、12の “実例” を基に、起業家たちが必ず陥るだろう失敗から導き出された65の教訓を体系的に示してくれています。 (”実話”がベースとなっているものだと記しましたが、1話あたりに数社分の実例が下敷きとして盛り込まれているという点を補足させて頂きます・・・)
 
『はじめに』および『あとがき』の部分で著者が記しておられますが、長いビジネス人生の中で軽く思った「なるほど」が、後のビジネス人生を左右するぐらいの判断材料になることもあるでしょうし、また、ちょっとした判断が、後で考えれば、大きな成功、失敗への分岐点になるのがビジネスでもあるわけです。
“成功者”と”失敗者”との差は、さほど大きくはないのだと語る著者。
「能力」の違いでもなければ、「運」の違いでもない。
また、「戦略」の間違いでもなければ、「財務基盤」の問題でもない・・・。
「ほんの少しの顧客や社員への気遣い」、これこそが”成功者”と”失敗者”との違いだと語っておられる言葉が印象的でありました。
 
経営者の方や、これから起業したいと考えておられる方は、一度読んでおかれるといいかも知れません。 “わかりやすい経営書” だと捉えることのできる本、そんな一冊だと思います・・・・。