瀬戸内寂聴さんのインタビュー記事から・・・

2011.04.14
    

今朝の中日新聞の1面にインタビュー記事が掲載されていました。 東北地方太平洋沖地震の発生から一ヶ月が経過し、震災後の 「私たちの生き方」 や 「日本のあるべき姿」 を考えるというのがその趣旨です。
第一回目の今日は、瀬戸内寂聴さん(岩手県・天台寺名誉住職)が取り上げられていました。
 
「人間の力には限界があり、自然の力は底知れない。それなのに私たちは人間の知識にうぬぼれ、自然の力をみくびっていましたね・・・」 という書き出しで始まる記事の中に、含蓄のある素晴らしい言葉や考え方が示されていました。
そこで今日は、その中から私が個人的に印象に残ったフレーズを交えながら、「いま私たちはどうあるべきか?」 ということについて記してみたいと思います。
 
寂聴さんは、「忍辱」(にんにく) という仏教用語を用いて私たちがとるべき姿勢を説いておられます。 「忍辱」とは 「辛抱」 のことをいい、仏教上の修行の一つとされているものであります。
東北地方の人はもともと辛抱強い人が多いわけでありますが、被災地の皆さんは 「辛抱」 をしなくたっていいんですよ・・・ と寂聴さんは語っておられます。
今は辛抱することなく、「耐えられない」とか、「早くこうして欲しい」とか、そうした声を発してください・・・ と。
自分のためではなく、子供のためにも、もっとわがままになって欲しいと語っておられます。
 
逆に、非被災者は 「忍辱」 を心掛けて節約をし、仏教の基本的な思想である 『忘己利他』(もうこりた) の心を思い出すことが肝心だと語っておられます。
『忘己利他』とは、当社の基本精神に据えている考え方でもあり、「自分のことよりも、まずは相手のことを先に考える」 という意味であります。
 
また、寂聴さんは 「代受苦」(だいじゅく) というキリスト教の言葉を用いて次のようにも語っておられます。
「代受苦」、これは、キリストが人々の代わりに “はりつけ” に遭ったことを表す言葉であるとのことで、被災地の人は自分の変わりに苦しんでくれている。 そのように考えれば、被災地以外の人も決して “人ごと” ではなくなるのではないかと。
 
いま私を含め被災をしていない人たちに求められるのは、 「思いやりの念」・「利他の心」 であるということは間違いありません。 それを何らかのカタチにして表したいものです・・・。