読者の皆さんは、『覿面注意』(てきめんちゅうい)という言葉をご存知でしょうか?
私がこの言葉を知ったのは50歳を過ぎた頃です。どこで知ったかはハッキリ覚えていませんが、月刊誌「致知」かPHP研究所が発行している冊子「PHP」のいずれかだったと思います。
これは松下幸之助さんが人材育成の面で掲げた「二大教育方針」のうちの一つ、2つ目の方針です。 1つ目の方針は何であるかと言えば、それは『凡事徹底』。そして2つ目が、この『覿面注意』であります。
以前の私は、セミナーを受講したり、大先輩から人生や経営に対して助言を頂いたり、書籍を通じて「これは!」と思ったものを『気づきのノート』と称したものに記していました。
そこに、『凡事徹底』 および 『覿面注意』 についても記しています。
まず、『凡事徹底』 について。
これは、挨拶や掃除、整理・整頓といったところから始まり、道を歩く時はポケットに手を入れないとか、靴を脱いだら真っ直ぐ揃えるといった、日頃の身の回りのことをキチンと行う習慣を身につけさせること、要は「躾」を徹底していくことで、人を育てていこうという考え方です。
これを習慣づけることが、「正直」・「まじめ」・「愚直」といったビジネスを成り立たせる上で最も大切な精神を養うことに繋がり、結果としてそれが仕事の成果にも大きな影響を及ぼすことになります。
そして、『覿面注意』(てきめんちゅうい)。
これは「凡事」をちゃんとできない人には、すぐさま「その場で厳しく注意をする」(叱る)ことが大事だという考え方です。
松下幸之助さんは、烈火の如く叱責をされていたとのことです。
とりわけ優秀な人に対しては、大きなことではなく、“小さなこと” で叱っておられたようです。
凡事がシッカリできない人に、大きなことなどできないでしょうし、本来許されるべきものでないものを一つ許してしまえば、全てが “いい加減”、“なあなあ” になっていってしまう。
「一事が万事」という言葉がありますが、決してそうならないようにするために徹底的に戒めていこうということなんでしょう。
皆が小事を疎かにする風潮が蔓延したら組織が弱体化しますし、時に不正行為に繋がっていくことだって有り得ます。
また、面前で叱ることによっては、叱られた当事者以外の社員にも、「それは悪いことなんだ」と、職場の価値観やルールを知らしめる効果もあります。
ただ、厳しく叱るだけでは相手の意欲をそぐ危険性があります。
ですので、叱った後には相手へのフォローも忘れない。
幸之助さんはその点も徹底されていたようで、叱った後には必ず本人に、「元気にしとるか?」・「機嫌よう、働いとるか?」 と電話を掛けておられたようです。
こうしたリーダーの姿勢は大いに見習うべきですよね。
松下幸之助さんには到底及びませんが、私もこの2つの教育方針『凡事徹底』と『覿面注意』を念頭におき、社員一人一人と対峙して参る所存です。
松下幸之助さんがその教育方針に関して残されている言葉があります。
最後に、その言葉を記し、本日のブログ記事を閉じさせてもらいます。
小事にとらわれて大事を忘れてはならないが、小さな失敗は厳しく叱り、大きな失敗に対してはむしろこれを発展の糧として研究していくということも、一面では必要ではないかと思う。
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