賃貸住宅管理業者登録制度

2011.03.09
    

従来これといった規制も無く、比較的自由な業界であった 「賃貸住宅管理業」 に一定のルールが設けられることになりました。
平成23年度中(おそらく秋?)に、賃貸管理業者の “登録制度” が設けられることになったのです。
今月に入ってから、国土交通省(不動産業課)の担当者が全国主要都市を廻り、本制度についての説明会を開いています。
昨日は名古屋市においてこれが開催されました。 写真は、その会場内の様子です。
ざっと数えてみましたが300人を超える人たちが出席しており、感心の高さをうかがい知ることができました。
 
今日は、その 「大まかな内容」 と、「私なりの感想」 を記させてもらおうと思います。
 
まず、「登録」 をするかどうかは、あくまで “任意” だということ。
登録をしなかったからといって賃貸管理業を行なえなくなるわけでは決してありません。
登録するための要件としては、 『家賃、敷金等の受領事務』・『契約更新事務』・『契約終了事務』 のいずれか一つでも行なっている者となります。
勿論、「法人」・「個人」 の如何は問わず、登録にあたっての費用はかからないということです。
管理戸数であったり、宅地建物取引主任者やその他特定の資格保有者の有無も関係なく、暴力団関係者や規定の不正事項を犯した者、成年被後見人もしくは被保佐人、または破産者で復権を得ない者でない限り、希望すれば誰でも登録ができるといった感じです。
 
また、”任意” の登録制であるため、業務面で強制力を持った指導要綱みたいなものはさほど多くはないように感じましたが、以下の5点についてはこの制度のポイントとなるところだといえましょう。 
1)家主と管理契約を結ぶ際、賃借人と賃貸借契約を結ぶ際に 「重要事項説明」 をしなければならない。 ※管理が自社に移行した場合は、既存の入居者に対してもこれが必要となる。

2)自己資産と敷金等の預かり金は 「分別管理」 をしなければならない。 ※「分別管理」 とは、必ずしも通帳を分ける必要も無く、内訳がハッキリ区別できるよう帳簿等で管理するといった程度でいい。

3)敷金の精算時に、入居者負担が発生するのであれば、その内訳を書面で交付しなければならない。

4)国土交通省に対し、一年に一度 「業務状況および財産の分別管理状況の報告書」 を提出しなければならない。 ※決算書(貸借対照表および損益計算書)を提出。分別管理状況の報告書については 「第8条書面」 というものが用意されています。

5)家主や入居者からの申し出があった場合は、上記の 「分別管理状況の報告書」(8条書面) を閲覧させなけれなならない。 ※決算書(貸借対照表および損益計算書)については開示する必要なし。
 
バクッとした内容は上記のようなところでありますが、私がこの制度全体を通して受けた感想は、”ゆるゆる制度” だということ・・・・。
もちろん当社は、「登録」 をさせて頂くつもりでいますが、この制度内容では、結構いい加減な業者であっても簡単に登録ができてしまいます。
「分別管理状況の報告書」 にしても、あくまで自己申告で、本当にそういった処理がなされているかどうかというチェック機能もありません。 決算書の公開もされないのであれば、本当に家主や入居者が管理会社を選ぶ判断材料になるのかは、いささか疑問です。
 
質疑応答のコーナーでは、私も二度ほど質問に立たせて頂き、「これが将来の許可制(免許制)への布石であるのか?」 ということについて国交省の見解を聞かせてもらいました。
上手くはぐらかされましたが、おそらくこれはそれに向けてのジャブなんだろうと捉えています。 運用過程で問題点を炙り出しながら、そうした論議へ導いていこうとするような意図がある気がしてなりません。
まぁ、いづれにしてもこの制度、「賃貸管理業」 を営む業者であるならば見過ごすことのできない制度であります。 今後の動向をしっかり見守っていきたいと思います。